FISPA便り「関東甲信越大雪で思ったこと」

 今年の2月は、100年に一度と言われる大雪に見舞われました。特に、関東甲信越地方の降雪は記録的で、各地で交通網が遮断し、孤立した地域が救援を求める状況でした。ニュース映像を見ながら、あの東日本大震災の惨状を想起させられた方も多かったのではないかと思います。

 大雪の時、筆者は北関東のある地方都市にいました。仮にA市とします。人口5万人強。田園地帯と山里が広がる、日本ではどこにでもあるような地域です。そこで、個人的に感じたことは、数年前に行われた「平成の大合併」に伴う行政サービスと物流網の途絶時にとる消費者の購買行動の2点でした。

 A市は、平成大合併で2町1村が合併して誕生しました。その隣のB市は、1市2村が合併して、それぞれ新しい「市」になりました。さて、問題は道路の除雪です。A市は、幹線道路はもとより、公共的な駐車場も除雪車が出動して通行にこまるようなことはありませんでした。ところが、友人が住むB市の旧村部は、除雪が遅々として進まず生活に苦労があったとのことでした。

 合併による、行政サービスの差なのかどうか。A市は比較的雪の対応に慣れているのに対し、B市はそうではなかったのかも知れません。しかし、「危機」に際して、合併した地方自治体の行政の対応ぶりを考えされました。

 もうひとつは、消費者行動です。街のスーパーから生鮮食料品が姿を消したそうです。大震災や第一次石油ショックに伴う1974年のモノ不足時代にトイレットペーパーが店頭から消えたことがありました。そんな歴史的なシーンが再現されたのです。

 もちろん、モノ不足の規模、期間とも今回は小さかったのですが、生鮮食料品、水、カップ麺、豆腐などが棚から消えたスーパーもありました。不安に駆られると、消費者は1個でも余分に購入し、それが他の人に伝染するのでしょうか。

 大雪は、ファッション製品の売れ行きにも悪影響を及ぼしました。春は、もうすぐですが、一日も早く「春よ、来い」。もっとも、春には消費税増税が待ち構えていますが…。                     

(聖生清重)