FISPA便り「日本クリエイション大賞の“人間っていいな”」
日本ファッション協会(馬場彰理事長)主催の2013年度「日本クリエイション大賞」と「シネマ夢倶楽部の各賞」の授賞式とパーティーが去る10日、東京商工会議所ホールで開かれました。ファッションを生活文化ととらえて生活文化の発展、関連産業の振興を目指す日本ファッション協会の恒例の行事ですが、毎回、受賞案件と受賞者の謝辞がすばらしく楽しみにしています。今年も、いつものように感動的な案件と“人間っていいな”と思える受賞者の謝辞を聞くことができました。
クリエイティブな視野で生活文化の向上に貢献し、次代を切り拓いた人物や事象を表彰する「日本クリエイション大賞」は、2002年に小柴昌俊教授が受賞した「ニュートリノの発見」と2013年受賞の「ヒッグス粒子の発見」に貢献した浜松ホトニクスの光技術。晝間明社長は「ファッション大賞と言うには堅すぎるが、光を追及することが新産業の発見に、さらには新文化につながる」と述べました。世界最大の光電子倍増管「カミオカンデ」を岐阜県神岡鉱山の地中に設置した晝間輝夫社長(当時)の「人類未知未踏の追及」精神が見事です。
大賞の「世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロをはじめ“近大卒”の魚をブランド化した近畿大学水産研究所、冬の間も田に水を張り、田んぼに生きる原生生物やイトミミズなど生き物の力を借りて無農薬でコメ作りすることで、津波被災地の田んぼの復興を実現した特定非営利法人「ふゆみずたんぼ」、世界の潮流に伍し日本のワイナリーの新しい時代を切り拓く「ヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー」(玉村豊男オーナー)も、それぞれすばらしいクリエーションワークです。
一方、「いい映画をあなたに。夢と感動を、いつまでも…」と良質な映画を推薦しているシネマ夢倶楽部は、ベストシネマ賞など3つの賞がありますが、このうちベストシネマ賞第一位には「宗教、民族、国を超越すべく、我々に希望を与えてくれた」(馬場彰代表・推薦委員長)「もうひとりの息子」(仏、ロレーヌ・レヴィ監督)が選ばれました。配給会社のムヴィオラの武井みゆきさんは「シネコンは巨像、(私たちの)ミニシアターはアリ」との表現で良質な映画を上映するミニシアターの熱い志をアピールしました。
(聖生清重)