FISPA便り「『AFFタイ・バンコク大会』から① アジアの独自性を世界に発信」

 日本ファッション協会(馬場彰理事長)などで結成しているアジアファッション連合会(AFF)のタイ・バンコク大会が3月12-14日、バンコクで開かれ、筆者も日本代表団(団長・平井克彦AFF日本委員会委員長)の一員として参加しました。大会は年1回、加盟6カ国(日本、韓国、中国、シンガポール、タイ、ベトナム)が各国持ち回りで開催しています。発足から11年目に入った今大会ではAFFの基盤が固まり、今後の方向性も明確になってきたように思えます。

 まずは、AFFの主要目的であるアジアファッションの世界への発信です。世界のファッション産業地図は欧米が中心で、アジアは欧米が発信するトレンドに追随する流れが支配的です。しかし、21世紀はアジアの世紀と言われるように、アジアの世界経済に占める地位は年々高まっています。繊維・ファッション産業界でもアジアは「世界の工場」から「世界の消費地」へと変貌を遂げています。

 そうした中で、欧米追随ではないアジア独自のファッションを世界に発信しよう、との共通認識が明確になってきました。「地域のオリジン(起源)に深い敬意と関心を払ったデザイン」(「まとふ」の堀畑裕之・関口真希子)が重要だとの認識です。AFF大会で恒例の各国1人の若手デザイナーによるショーでも、例えば、ベトナム代表はベトナム伝統の刺繍をあしらったコレクションを披露する、といった具合です。

 アジア発の流れは、今大会でAFFウェブを毎月更新することで合意したほか、日本のストリートファッションを紹介する日本ファッション協会の「スタイル・アリーナ」のシステムをタイに提供するなどで、AFF全体の発信力を高めることが決まりました。

 ビジネス交流では、各国への市場参入を図ろうとする企業やデザイナーの要請に応じて、各国がファッションイベントへの参加を斡旋することで意見が一致しています。また、人材育成ではファッションで先行する日本がJFW(日本ファッション・ウィーク推進機構)に関する情報を提供するなどで若手デザイナーを支援する意向が示されています。

 アジアでも二国間や多国間のFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)が張り巡らされる時代になって「最適なビジネスモデル」の研究という課題も浮上しています。次回は、来年9月にベトナムで開催されることが決まりました。                          

(聖生清重)                       

AFFiincyou