FISPA便り「『AFFタイ・バンコク大会』から② 日本ブランド進出の可能性」
AFFタイ・バンコク大会は、主催国であるタイの意向を受けてアセアン最大規模とされる「BIFF(バンコク・インターナショナル・ファッション・フェア)、BIL(バンコク・インターナショナル・レザー・フェア)」の会期中に開催されました。
このタイでの展示商談会に合わせて、日本に関連するイベントが開催されました。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)が経済産業省の支援を受けて実施した、タイにおける日本ブランドの進出のための「ジャパン・ファッション・ウィーク・イン・バンコク」です。会場は、バンコクを代表する商業施設「サイアムセンター」と「BIFF」の2カ所で、会期は前者が2月28日-3月16日、後者が3月12日-14日でした。
タイ市場へ参入するためのテストマーケティングと日本のファッションブランドのイメージ発信が目的で、参加ブランドはコレクションを中心に発信している「ハイエンドブランド」の「クリスチャンダダ」(森川マサノリ)、「オルガ」(オルガ)など6ブランドとファッションビルなどの商業施設で展開している「メジャーブランド」の「ナイスクラップ」、「オリーブ・デ・オリーブ」など8ブランドの計14ブランドでした。
AFF代表団のメンバーと一緒に両会場を見てきました。展示された商品は、さすがにレベルが高く、タイ市場参入の可能性を予感させるものでした。しかし、両会場を訪れた時は、閑散としていて、特に、サイアムセンターではフードコートで日本食の爆発的な人気ぶりに驚いたこともあってその落差を感じざるを得ませんでした。
市場参入の可能性はどうなのでしょう。日本の百貨店を定年退職してからタイの商業施設で丸5年、幹部を務めている方に見解をお聞きしたところ、こんな答えが返ってきました。「日本ブランドをタイで販売する際、日本からの輸出品だとどうしても高価格になってしまう。シーズンも夏物だけになるので、対応が難しい。また、売れ筋商品のフォローが大変だ」。「ユニクロ」は、タイでも健闘していますが、商品フォローには苦労しているとのことでした。
日本ブランドのタイ市場参入の壁は低くはないようですが、くだんの元百貨店マンは「でも、日本ブランドはデザインと品質(縫製力)の高さを発揮すれば、可能性が出てくる」と見ていました。
(聖生清重)