FISPA便り「『AFFタイ・バンコク大会』から③ バンコクもファッションハブを目指す」
AFFタイ・バンコク大会の会場と同じ会場で開催されていたBIFF(バンコク・インターナショナル・ファッション・フェア)、BIL(バンコク・インターナショナル・レザー・フェア)。主催はタイ国商務省国際貿易振興局(DITP)。BIFFには、カジュアルウエア、子供服、フォーマルウエア、インナーウエア、ビジネスウエア、アクセサリー、シルク&エスニック製品、関連機器など700社・1000ブースが参加していました。
今年のテーマは「スタイル+デザイン アセアン」です。スタイルとデザインの後に「アセアン」の言葉を入れたように、アセアン地域最大のファッション国際見本市が売り物というわけでしょう。日本ブランドを紹介するブースが設置されたことは前回、触れましたが、全体に商品は洗練されていてタイファッションが確実にレベルアップしていることは間違いありません。
BIFF、BILから透けて見えることがあります。ひとつはタイのファッション製品の国内消費が盛り上がっていること。もうひとつはバンコクもアジアにおけるファッションハブの座を目指していることです。
日本貿易振興会海外調査部アジア大洋州課長の若松勇さんによりますと、タイの消費支出額は、この10年間で3倍に増えました。いわゆる所得の中間層が厚みを増しています。中間層(下位・上位)の比率は、バンコクの場合、2006年の62.1%から2011年には68.4%に上昇しています。ちなみに富裕層は4.2%から6.7%に増えています。訪日観光客が年間45万人に達している事実もタイで富裕層・中間層が増加していることをうかがわせます。
バンコク中心部の高級商業施設、サイアムセンターに「シャネル」、「ルイ・ヴィトン」、「エルメス」といったラグジュアリーブランドが広い店舗を構えているのもこうした事情を反映したものでしょう。「生産国から消費国へ」は、歴史が証明するところですが、タイもこの道を歩んでいます。
昨年、AFF大会が開かれたシンガポールは、ファッションイベントを告知する垂れ幕を目抜き通りに掛け、ファッションショーの特設テントも設営していました。明らかにアジアのファッションハブを狙ったものです。バンコクも同様にアジアのファッションハブの座を狙っています。
(聖生清重)