FISPA便り「IFI 25周年、今こそ、人材育成を」

  ファッション産業人材育成機構(IFI)の設立25周年、IFIビジネススクール開校20周年を記念した「感謝の集い」が先ごろ、都内のホテルで開かれました。「業界の、業界による、業界のための教育機関」として、通産省(現・経産省)の支援を得て、東京都、墨田区、繊維ファッション業界が計50億円の基金を出資して設立されたIFI。時代が大きく変化する中でカリキュラムを改編しながら、真に必要な人材育成に努めてきました。
 

「感謝の集い」には、関係者が400人以上集まり、グラスを片手にこもごも歓談していましたが、筆者はそこで懐かしい方にお会いしました。IFI設立に尽力した、当時、通産省生活産業局繊維製品課長だった長島英雄さんです。長島さんは、日本のファッション産業の発展のためには、優秀な人材を育成することが不可欠との信念から設立に向けて奔走していました。業界、自治体も同様で、人材育成への熱意が強く漂っていました。
 

それから25年。IFIは、基幹4コースで6,021人の人材を輩出してきました。特別プログラムや各種研究会を合わせると、総数は1万3,000人にのぼります。全日制のマスターコースの卒業生の中には上場アパレル企業で執行役員の重責を務める人も出ています。
 

「感謝の集い」に先立つ記念講演では、IFIビジネススクール学長で一橋大学大学院国際企業戦略研究科科長教授の一條和生氏が「『デジタル破壊』の時代をリードする」のテーマで講演しました。デジタル、AI(人工知能)による大転換期の様相を解説した後「AIは、信念、夢、情熱を持つことはない。AIは人間が生きる中で蓄積してきた常識も持たない」と述べました。
 

  その上で一條教授は「デジタル、AI時代でファッション産業に必要なことは考える人間作りで、それこそがIFIの使命だ」と強調しました。
 講演の内容をすべて理解できたわけではありませんが、人間の感性を相手にするファッション産業にとって、しかも、デジタル、AIによる大変革がグローバルに進行している時代にあって、「考える人間作り」との指摘は大勢の聴衆に示唆を与えたのではないでしょうか
 

  デジタル、AI時代は、まさしく転換期であり、だからこそ、人材育成の必要性が今こそ求められていると言えるでしょう。IFIは、今、全日制のマスターコースを従来の全日制から夜間と土曜日を使う「オン・ザ・ジョブ」に変更して来年度から再スタートする計画です。大勢の「考える人間」の育成を期待したいと思います。

                    (聖生清重)